酒類販売免許の譲渡、M&A、相続等の取扱い
2022/03/18
お酒の免許は、「人的要件」「経営基礎要件」「場所的要件」等の要件を満たしたものに付与されています。
そのため、この免許は付与された免許事業者についてのみ効力を有するものであり、原則として営業主体の変更は認められません。
したがって、免許事業者がお酒の免許を第三者に譲渡したとしても、その譲渡に伴って、実際に許認可が継承されることはありません。
それどころか、仮に譲渡後に無免許販売等が発覚すると、法令違反として懲役や罰金に処せられる恐れもあります。
ただし、個人事業者の法人成りや会社間のM&A(合併や会社分割等)で次の要件を満たす「営業主体の変更」については、「法人成り等の販売業免許の取扱い」として、免許の交付と同時に既存の免許事業者が取消申請をすることで、免許の実質的な引継ぎが可能となっています。
なお、法人成り等の要件を満たさない申請については、通常の新規の販売業免許の申請として審査されます。
<法人成り等の要件>
①免許の交付と同時に既存の免許事業者の取消申請が提出されること
②新しく申請する者が「人的要件」及び「経営基礎要件」満たしていること
③既存のお酒の販売場と同じ場所で営業がされること
④既存販売場が休業場でないこと(全酒類卸売業免許又はビール卸売業免許については販売数量の要件あり)
<法人成り等の形態>
法人成り等とされる再編行為等とは次の通りです。
①法人成り:既存の免許事業者である個人が代表者の法人を設立し、その法人に酒類販売業を引き継がせる場合
②会社の合併:既存の免許事業者である会社が被合併法人として他の会社に吸収合併される場合
※既存の免許事業者を合併法人として、酒類販売業免許を取得したい会社を被合併法人とすることで、酒類の販売業免許を引き継ぐスキームもあります。
③会社の分割:吸収分割または新設分割により、既存の免許事業者がお酒の販売事業の全部または一部を他の会社に承継させる場合(法人税法上の適格分割や民事再生法のよる事業再生計画による分割に限る)
④営業の承継:既存の免許事業者の3親等以内の親族で、そのお酒の販売場で現にお酒の販売業務に従事している者が、酒類販売事業をそのまま引き継ぎ、酒類の販売業をしようとする場合で、経営内容の実質に変化がないと認められる場合(既存の免許事業者において身体の故障等の特別の事情が必要)
<相続>
法人成り等には含まれませんが、相続については免許の承継が認められています。
この場合には、新規の免許交付申請等は不要で、一定の申告をするだけで手続きは完了します。
<まとめ>
お酒の免許の種類によっては付与される件数に制限があります。
そのため、すぐに酒類販売事業を始めたい事業者においては、「免許の譲渡」や「免許事業者のM&A」で免許の承継や引継ぎをしたいという要望があり、東京酒類販売免許取得サポートセンターにも問い合わせが増えてきております。
「免許の譲渡」や「免許事業者のM&A」については、採用するスキームを誤ったままお酒の販売を開始すると無免許販売の恐れもありますので、事前に専門家に相談することをお勧めします。
専門家へご相談される場合には、酒販免許のエキスパートであります、東京酒類販売免許取得サポートセンターへ是非ご相談ください。