「酒類販売管理者」と「酒類販売管理研修」を分かりやすく解説!(酒類小売業免許)
2023/10/18
酒類の小売業者(通信販売業者を含む)は、酒類販売管理者を選任し、酒類販売管理研修を受講させる義務があります。
また、会社役員等は酒類販売管理研修を受講することで、免許申請時の「経験要件」の審査が有利となります。
そこで今回は、お酒の小売業免許申請に関する基礎知識として、「酒類販売管理者と責任者」や「酒類販売管理者制度」、「酒類販売管理研修」などを分かりやすく解説します。
目次
小売業免許における酒類販売管理者と責任者
まずは、小売業免許の申請における「酒類販売管理者」と「責任者」の建付けや、両者の詳細を確認します。
酒類の小売業免許の申請書には、「酒類販売管理者」と「酒類販売管理者に代わる責任者」を記載する必要があります。
この酒類の小売業免許とは、具体的には次の免許のことを言います。
✓一般酒類小売業免許 ✓通信販売酒類小売業免許 |
なお、酒類の小売業免許以外の「酒類卸売業免許」や「酒類販売媒介業免許」の申請においては、「酒類販売管理者」と「酒類販売管理者に代わる責任者」を記載する必要はありません。
酒類の小売業免許の申請書には、酒類販売管理(予定)者を記載する必要があります。
ここで、「酒類販売管理者」とは、次のような者を言います。
✓お酒を小売りする販売場において、酒類の適正な販売管理のために、従業員等に対して助言や指導を行う者 ✓つまり、販売場におけるお酒の取り扱い責任者 |
この酒類販売管理者になれることができる者とは、酒類の販売業務に従事する者で「酒類販売管理研修」を過去3年以内に受けた者を言います。
そのため、新規で酒類の小売業免許を申請する場合には、酒類販売管理者に選任を予定している者に酒類販売管理研修を受講させ、その中から販売場ごとに、酒類販売管理者を選任する必要があります。
なお、この酒類販売管理研修は、国税局等が指定した団体(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会、一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会等)が実施しており、研修実施団体や研修実施の予定表は、国税庁の以下のホームページから確認することができます。
酒類販売管理研修実施団体の指定状況等及び研修実施予定について|国税庁 (nta.go.jp)
酒類販売管理研修の詳細については、後述します。
お酒の適正な販売管理の実効性を確保するため、次のような場合には、「酒類販売管理者に代わる責任者」を必要な人数分、配置する必要があります。
①夜間(午後11時から翌日午前5時)にお酒の販売を行う場合 ②酒類販売管理者が常態として、長時間(2~3時間以上)不在となることがある場合 ③販売場の面積が著しく大きい場合(100㎡を超えるごとに1人以上) ④販売場が複数の階にある場合(酒類販売管理者のいない各階ごとに1名以上) ⑤同一の階にある複数の販売場が20m以上離れている場合 ⑥同一の階において販売場が3箇所以上ある場合 ⑦その他、酒類販売管理者のみでは酒類の適正な販売管理の確保が困難と認められる場合 |
※責任者はできるだけ成年者とし、特に上記①の場合は必ず成年者を配置する必要があります。
なお、上記のようなケースが想定されない販売場では、「酒類販売管理者に代わる責任者」を配置する必要はありません。
酒販免許申請時の審査では、酒類販売に関しての十分な知識・経験があるかどうか(「経営基礎要件」の経験要件)が問われています。
この点、会社役員や個人事業主に酒類販売の経験がない場合には、この要件を充足できるかが問題となりますが、酒類販売管理研修の受講をすることで、酒類の小売販売に関する知識は十分にあるものとして、審査上、有利に取り扱われます。
具体的には、会社役員や個人事業主に酒類の小売販売の経験がない場合には、次のような事項を総合勘案し、お酒の小売業を経営するに十分な知識及び能力が備わっているかどうかが審査されます。
✓一般酒類小売業免許: その他の業種での経営経験+「酒類販売管理研修」の受講 ✓通信販売酒類小売業免許: その他の業種での経営経験または、ネット販売事業の従事経験+「酒類販売管理研修」の受講 |
そのため、酒類の小売業免許を申請する場合において、会社役員や個人事業主に酒類販売の経験がないときは、役員に「酒類販売管理研修」を受講させることが最低限必要です。
なお、酒販免許の取得に必要な申請者の経験については、以下の記事もご参照ください。
酒販免許の取得に必要な申請者の経験とは? | 免許取得における具体的な諸準備について説明 |
会社役員や個人事業主がその販売場において酒類の販売業務に従事する場合には、自ら酒類販売管理者になることができます。
そのため、会社役員等に酒類販売の経験がない場合であっても、会社役員が「酒類販売管理研修」を受講して、酒類の小売販売に関する知識を補い、さらに自らが酒類販売管理者を兼任するときは、役員1人が「酒類販売管理研修」を受講すれば、問題ありません。
酒類販売管理者制度とは
ここでは、改めて、酒類販売管理者制度に関する「概要」や「酒類販売管理者の選任義務」などを確認します。
酒類販売管理者制度においては、酒類の小売業者は、小売販売場における酒類の適正な販売管理の確保を図るため、販売場ごとに、酒類販売管理者を選任し、所轄の税務署に提出する必要があります。
酒類の小売業者は、次のような、選任義務等を怠ると、罰金(50万円以下)又は過料(10万円以下)に処せられ、場合によっては、免許が取り消されることもあります。
①酒類の販売を開始する時までに、販売場ごとに、酒類の販売業務に従事する者の中から酒類販売管理者を選任する義務 ②選任・解任から2週間以内に「酒類販売管理者選任届出書」を所轄の税務署に提出する義務 ③酒類販売管理者に3年を超えない期間ごとに「酒類販売管理研修」を受講させる義務(平成28年の税制改正で努力義務から義務に変更) |
酒類販売管理者の選任義務については、以下の記事もご参照ください。
酒類販売管理者と選任義務 | 免許取得における具体的な諸準備について説明 |
酒類販売管理研修とは
ここでは、改めて、酒類販売管理研修に関する「概要」や「申込先・研修会場」、「受講費用」などを確認します。
お酒の小売業免許を申請するにあたっては、「酒類販売管理研修」を受講した人の中から、「酒類販売管理者」を選任する必要があります。
また、選任された「酒類販売管理者」は、3年ごとに「酒類販売管理研修」の受講が必要になります。
このように酒類販売管理者が受講すべきものとして開催されている研修が「酒類販売管理研修」ですが、この「酒類販売管理研修」では、お酒の販売業者に課される義務等について学ぶこととなります。
酒類販売管理研修は、国税局等が指定した団体(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会、一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会等)が実施していることから、申し込みにあたっては、各研修実施団体のホームページなどで実施スケジュールを確認します。
なお、研修実施団体や研修実施の予定表は、国税庁の以下のホームページからでも確認することができます。
酒類販売管理研修実施団体の指定状況等及び研修実施予定について|国税庁 (nta.go.jp)
この酒類販売管理研修は全国で定期的に実施されており、また、お酒の販売場の最寄りの会場で受ける必要もないことから、都合の合う日程の会場を選んで受講することができます。
酒類販売管理研修の費用は、各団体により異なりますが、概ね次のような料金設定となっています。
✓通常の受講料:4,000円~6,000円程度 ✓各協会の会員の受講料(※):2,000円~3,000円程度 |
※コンビニやスーパー、チェーン店の場合には、各協会が開催していることがあり、会員の場合は会員価格で受講することができます。例えば、コンビニチェーンの多くが加盟している日本フランチャイズチェーン協会の場合、JFA会員は2,000円、非会員は4,500円となっています。
酒類販売管理研修では、法律に基づき、酒類の販売業者に課される義務等について学びますが、具体的には、次のような内容の講習となります。
✓お酒に関する法令(酒税法 、酒類業組合法 、未成年者飲酒禁止法、リサイクル関係法、独占禁止法など) ✓免許取得後の義務 ✓お酒の表示 ✓未成年者飲酒禁止法の取り組みなど |
研修時間は3時間程度とそれなりのボリュームのある講習となっています。
研修の最後には、確認テストがありますので、講師の説明はしっかりと聞く必要があります。
受講が終了すると、「酒類販売管理研修受講証」が交付されますが、お酒の免許申請の審査において提出を求められることがありますので、確実に保管する必要があります。
上記の「酒類販売管理研修受講証」はお酒の販売場に掲示する必要はありませんが、お酒の小売業者は販売場ごとに、公衆の見やすい場所に、次の事項を記載した標識を掲げる必要があることから、注意が必要です。
①販売場の名称及び所在地 ②販売管理者の氏名 ③酒類販売管理研修受講年月日 ④次回研修の受講期限(③の3年後の前日) ⑤研修実施団体名 |
なお、酒類販売管理研修については、以下の記事もご参照ください。
酒類販売管理研修とは? | 免許取得における具体的な諸準備について説明 |
まとめ
以上今回は、お酒の小売業免許申請に関する基礎知識として、「酒類販売管理者と責任者」や「酒類販売管理者制度」、「酒類販売管理研修」などを分かりやすく解説いたしました。
小売業免許の申請書には、「酒類販売管理者」と「酒類販売管理者に代わる責任者」を記載する必要があります。
また、小売業免許申請時の審査においては、酒類販売に関しての十分な知識・経験があるかどうか(「経営基礎要件」の経験要件)が問われますが、酒類販売管理研修の受講で経験要件の審査が有利になります。
そのため、お酒の免許申請においては、「酒類販売管理研修」のことも十分に理解している専門家に相談することをお勧めします。
ご質問等ございましたら、酒販免許のエキスパートであります、東京酒類販売免許取得サポートセンターへいつでもご相談ください。