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お酒を販売するための「定款目的の記載方法」や「定款案」を詳しく解説!

お酒を販売するための「定款目的の記載方法」や「定款案」を詳しく解説!

2023/08/06

会社で酒類販売業免許を取得するための必要書類の1つに「定款の写し」があります。

お酒の販売業を営むためには、この定款の事業目的に例えば、「酒類販売業」などと定める必要があります。

酒類販売業免許の審査においては、この定款の事業目的にお酒の販売に関する事業が定められているかどうかが審査項目となっています。

そこで今回は、「定款」に関して、「概要」や「お酒の販売をするための事業目的の記載方法」、「酒類販売を行う会社の定款案」などを詳しく解説します。

目次

    定款の概要

    「定款」とは、株式会社や合同会社などの会社が、組織として成立するための大切なルールを定めたものであり、会社設立のためには必ず必要な書類です。

    会社法では、この「定款」に、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」を次のように5つ定めています。

    ①目的
    ②商号
    ③本店の所在地
    ④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
    ⑤発起人の氏名または名称及び住所

     

    上記①の「目的」とは、会社で営む事業を記載したもので、「事業目的」とも呼ばれています

    基本的に、会社は定款で目的と定められた範囲内でしか事業を営むことができないことから、設立時にはすぐに営業を開始する事業だけでなく、将来的に行う可能性のある事業についても記載しておくことがポイントです。

    また、許認可が必要な事業を営む場合には、定款の目的に許認可事業が記載されていないと、一般的に許認可を受けることはできないことから注意が必要です。

    酒販免許取得には事業目的に酒類販売業などの記載が必要

    許認可が必要な事業を営む場合には、定款の目的に許認可事業が記載されている必要がありますが、これは酒類販売業を営む場合にも当てはまります。

    実際に酒類販売業免許の審査においては、定款の事業目的から「お酒の販売を事業として営むこと」が読み取れるかどうかが審査項目となっています。

    そのため、会社(法人)で、酒類販売業を営むためには、目的に「お酒の販売を事業として営むことが読み取れる文言」を記載した定款を添付した上で、酒類販売免許取得の申請を行うことが必要となります

    酒類販売をするための事業目的の記載例

    お酒の販売を事業として営むことが読み取れる文言とは、具体的には、次のような記載例が考えられます。

    ①お酒の店頭販売 → 「酒類の小売」
    ②お酒のネット販売 → 「酒類の通信販売業」
    ③お酒の輸出入 → 「酒類の輸出入」
    ④お酒の卸売業 → 「酒類の卸売業」
    ⑤事業形態を特定しない形でのお酒の販売 → 「酒類販売業」、「酒類の販売」

     

    上記①から④の中で、複数の事業を行う場合には、例えば、「酒類の小売、通信販売、輸出入および卸売業」とすることも可能です。

    また、上記⑤の「酒類販売業」や「酒類の販売」であれば、小売や通信販売、輸出入、卸売等、事業形態を特定しない形でのお酒の販売が可能なことから(全ての事業形態が包括される)、迷ったときは、お勧めの記載例です。

    酒類販売を株式会社が行う場合の定款案

    ここでは、酒類販売を株式会社が行う場合の定款案を確認します。

    定 款

    第1章 総 則

    (商 号)

    第1条 当会社は、〇〇株式会社と称する。

    (目 的)

    第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

    1.酒類の販売

    2.前各号に附帯又は関連する一切の事業

    (本店の所在地)

    第3条 当会社は、本店を東京都千代田区に置く。

    (公告の方法)

    第4条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。

     

    第2章 株 式

    (発行可能株式総数)

    第5条 当会社の発行可能株式総数は、10000株とする。

    (株券の不発行)

    第6条 当会社の株式については、株券を発行しない。

    (株式の譲渡制限)

    第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。

    (相続人等に対する株式の売渡請求)

    第8条 当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。

    (株主名簿記載事項の記載等の請求)

    第9条 株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求するには、当会社所定の書式による請求書に、その取得した株式の株主として株主名簿に記載若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人及び株式取得者が署名又は記名押印し、共同してしなければならない。ただし、会社法施行規則第22条第1項各号に定める場合には、株式取得者が単独で請求することができる。

    (質権の登録及び信託財産の表示)

    第10条 当会社の株式につき質権の登録又は信託財産の表示を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印してしなければならない。その登録又は表示の抹消についても同様とする。

    (手数料)

    第11条 前2条に定める請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。

    (基準日)

    第12条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。

    2 前項のほか株主又は登録株式質権者として権利を行使することができる者を確定するため必要があるときは、あらかじめ公告してそのための基準日を定めることができる。

     

    第3章 株主総会

    (招集及び招集権者)

    第13条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要に応じて招集する。

    2 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数の決定により代表取締役社長がこれを招集する。代表取締役社長に事故若しくは支障があるときは、あらかじめ定めた順序により他の取締役がこれを招集する。

    3 株主総会を招集するには、会日より3日前までに、議決権を行使することができる各株主に対して招集通知を発するものとする。ただし、議決権を行使することができるすべての株主の同意があるときは招集手続を経ず株主総会を開催することができる。ただし、法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。

    4 前項の招集通知は、法令に別段の定めがある場合を除き、書面ですることを要しない。

    (議長)

    第14条 株主総会の議長は、代表取締役社長がこれに当たる。代表取締役社長に事故若しくは支障があるときは、あらかじめ定めた順序により他の取締役が議長になり、取締役全員に事故があるときは、株主総会において出席株主のうちから議長を選出する。

    (決議の方法)

    第15条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。

    (総会議事録)

    第16条 株主総会における議事の経過の要領及びその結果並びにその他法令に定める事項は、議事録に記載又は記録し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く。

     

    第4章 取締役及び代表取締役

    (取締役の員数)

    第17条 当会社は取締役1名以上を置く。

    (取締役の選任)

    第18条 当会社の取締役は、株主総会において、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。

    2 前項の選任については、累積投票の方法によらない。

    (取締役の任期)

    第19条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとする。

    2 補欠又は増員により選任した取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

    (代表取締役及び社長)

    第20条 当会社に取締役を複数名置く場合には、取締役の互選により代表取締役を定め、代表取締役をもって社長とする。

    2 当会社に置く取締役が1名の場合には、その取締役を代表取締役社長とする。

    3 社長は当会社を代表する。

    (取締役に対する報酬等)

    第21条 取締役に対する報酬及び退職慰労金等は、株主総会の決議により定める。

     

    第5章 計 算

    (事業年度)

    第22条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。

    (剰余金の配当)

    第23条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対して行う。

    2 剰余金の配当が、支払の提供をした日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払の義務を免れるものとする。

     

    第6章 附 則

    (設立の際に発行する株式の数)

    第24条 当会社の設立時発行株式の数は300株、その発行価額は1株につき金1万円とする。

    (設立に際して出資される財産の価額及び成立後の資本金の額)

    第25条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金300万円とする。

    2 当会社の成立後の資本金の額は、金300万円とする。

    (最初の事業年度)

    第26条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和6年3月末日までとする。

    (設立時取締役及び設立時代表取締役)

    第27条 当会社の設立時取締役及び設立時代表取締役は、次のとおりとする。

    設立時取締役 〇〇 〇〇

    設立時代表取締役 〇〇 〇〇

    (発起人の氏名ほか)

    第28条 発起人の氏名、住所及び設立に際して割当てを受ける株式数並びに株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。

    東京都千代田区九段北△丁目△番△号

    発起人 〇〇 〇〇

    300株 金300万円

    (法令の準拠)

    第29条 本定款に定めのない事項は、すべて会社法その他の関係法令に従う。

     

     

    なお、以下の日本公証人連合会のサイトには、定款の記載例が掲載されており、ダウンロードすることもできますので、ご参考になさってください。
    日本公証人連合会「定款等記載例」

     

    酒類販売を合同会社が行う場合の定款案

    ここでは、酒類販売を合同会社が行う場合の定款案を確認します。

     

    定 款

    第1章 総 則

    (商号)

    第1条 当会社は、〇〇合同会社と称する。

    (目的)

    第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。

    1.酒類の販売

    2.前各号に附帯又は関連する一切の事業

    (本店所在地)

    第3条 当会社は、本店を東京都千代田区に置く。

    (公告方法)

    第4条 当会社の公告は官報に掲載する方法により行う。

     

    第2章 社員及び出資

    (社員及び出資)

    第5条 当会社の社員の氏名及び住所,出資の価額並びに責任は次のとおりである。

    金100万円

    東京都千代田区九段北△丁目△番△号

    有限責任社員 〇〇 〇〇

     

    第3章 業務執行権及び代表権

    (業務執行社員)

    第6条 当会社の業務執行社員は、次のとおりとする。

    業務執行社員 〇〇 〇〇

    (代表社員)

    第7条 当会社に業務執行社員が複数ある場合は、代表社員は業務執行社員の互選をもって、これを定める。

    2 業務執行社員が1名の場合は、その業務執行社員を代表社員とする。

     

    第4章 社員の加入及び退社

    (社員の加入)

    第8条 新たに社員を加入させる場合は、総社員の同意によって定款を変更しなければならない。

    (任意退社)

    第9条 各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。この場合においては、各社員は、2か月前までに会社に退社の予告をしなければならない。

    2 前項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。

    (法定退社等)

    第10条 各社員は、会社法第607条第1項に定める事由により、退社する。

    2 社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合は、当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継するものとする。

     

    第5章 計 算

    (事業年度)

    第11条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。

    (計算書類の承認)

    第12条 業務執行社員は,各事業年度終了日から3か月以内に計算書類を作成し、総社員の承認を求めなければならない。

     

    第6章 附 則

    (最初の事業年度)

    第13条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和6年3月末日までとする。

    (定款に定めのない事項)

    第14条 本定款に定めのない事項は、すべて会社法その他の法令の規定による。

     

     

    その他の留意事項等

    事業目的に「お酒の販売」が入っていない場合には、定款を変更して、事業目的に「酒類販売業」などと追加する必要があります。

    定款変更の手順については、以下の記事をご参照ください。
    酒類販売のための「定款の事業目的の記載方法」や「定款の変更方法」を解説!

     

    また、定款の事業目的に「飲食店の経営」などが記載されているだけでは、お酒の販売はできないことから注意が必要です。

    飲食店における酒類販売免許の取得に関しては、以下の記事もご参照ください。
    飲食店で酒類販売免許は取得できるか?

    まとめ

    以上今回は、「定款」に関して、「概要」や「お酒の販売をするための事業目的の記載方法」、「酒類販売を行う会社の定款案」などを解説いたしました。

    酒販免許の申請においては、定款の事業目的に「酒類販売業」や「酒類の小売」などの「お酒の販売を事業として行うことが読み取れる」文言が必要となります。

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