酒類販売のための「定款の事業目的の記載方法」や「定款の変更方法」を解説!
2022/07/15
会社で酒類販売業免許の取得を申請する場合には、定款の写しを提出する必要があります。
定款には事業目的を定める必要があり、酒販免許の審査においては、この事業目的が審査項目となっています。
そこで、今回は、「定款の事業目的」やお酒の販売をするための「事業目的の記載方法」等について解説します。
1.定款とは
「定款」とは、会社が組織として成立するための大切な規約をまとめたものであり、会社においては必ず必要な書類となります。
言い換えると、その会社における「憲法」のようなものです。
会社法では、この定款に、必ず記載しなければいけない「絶対的記載事項」を定めています。
この絶対的記載事項の一つに会社の「事業目的」があります。
会社は、定款の絶対的記載事項として記載した「事業目的」の範囲内で事業を行うこととなります。
2.酒販免許の審査において事業目的は必須審査項目
会社(法人)で、酒類販売業免許取得の申請を行う場合には、会社の定款の写しを添付書類として提出することになります。
酒類販売免許の審査では、定款の事業目的に「酒類販売業」などの、お酒の販売を事業として行うことが読み取れる文言があるかどうか必ず確認されます。
そのため、会社でお酒の取引を行う予定が少しでもある場合には、定款の「事業目的」に記載しておくことをお勧めします。
3.事業目的に「お酒の販売」が入っていない場合の対策
会社を設立する段階で、お酒の販売事業を想定している場合には、事業目的に「酒類販売業」などの記載をしていると思われます。
一方で、事業拡大など、会社設立後の事業環境の変化によりお酒の販売事業を開始する場合には、事業目的に「酒類販売業」などの記載がないことが多いと思います。
その場合の対策として、定款の事業目的に「酒類販売業」などを追加するための定款変更が必要となります。
定款は会社が組織として成立するための大切な規約をまとめたものであり、社内において強い効力を持つものであることから、担当者が容易に変更することはできず、株主総会の特別決議が必要となります。
定款を変更するための手続きは、以下の手順で行います。
①株主総会での決議
まずは株主総会での決議が必要になります。
また、定款変更は、特別決議(議決権の過半数を有する株主の出席と出席した議決権を持つ株主の3分の2以上の賛成)が必要とされています。
②議事録の作成
議決した内容を記載した株主総会議事録を作成します。
③変更登記
事業目的は登記事項でもあることから、①の決議から2週間以内に、法務局で変更登記の申請を行います。
申請してから、1~2週間で登記が完了します。
なお、酒類販売業免許申請においては、変更登記前の定款のコピーを提出しても構いません。
申請後、株主総会の議事録のコピーまたは変更後の定款を後追いで提出するほうが、免許取得にかかる時間を少しでも短縮することができます。
4.お酒の販売をするための事業目的の記載例
会社をこれから設立する場合や、定款の変更を行う場合には、定款の事業目的に「酒類販売業」などの「お酒の販売」ができることが分かる文言を入れます。
具体的には、例えば次の文言が考えられます。
①お酒の店頭販売 → 酒類の小売 ②お酒のネット販売 → 酒類の通信販売業 ③お酒の輸出入 → 酒類の輸出入 ④お酒の卸売業 → 酒類の卸売業 |
上記の中で、複数の事業を行う場合には、「酒類の小売、通信販売、輸出入および卸売業」等とすることも可能です。
また、「酒類販売業」や「酒類の販売」であれば、小売や通信販売、輸出入、卸売すべての事業形態が包括されますので、迷ったときは「酒類販売業」や「酒類の販売」 もお勧めです。
5.事業目的が飲食店経営の場合にお酒の販売はできる?
よくある質問の一つに、「定款の事業目的に「飲食店の経営」「飲食業」などが入っている場合に、お酒の販売はできるのでしょうか?」が挙げられます。
この答えは、「定款の事業目的に「飲食店の経営」「飲食業」などが入っている場合であっても、それだけではお酒の販売はできません。」になります。
飲食業では、お酒の提供はできるものの、お酒の販売は別物になります。
そのため、飲食店が酒類販売業免許を取得する場合には、定款の事業目的を変更しなくてはならない可能性がありますので、注意が必要です。
なお、飲食店における酒類販売免許の取得に関しては、以下の記事をご参照ください。
6.まとめ
酒販免許の申請においては、定款の事業目的に「酒類販売業」などの「お酒の販売を事業として行うことが読み取れる」文言が必要となります。
また、事業目的に「お酒の販売」が入っていない場合には、定款を変更して、事業目的に「酒類販売業」等を追加する必要があります。
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